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蟲師 9

残り紅

ギンコが通った山林の中で、ひとりのおばあさんを拾う。
名は、「みかげ」
捜索に来ていた夫の陽吉に会えたので、無事に家に帰すことができました。

お礼にと一晩休ませてもらうことに。
そこで、みかげの不思議な過去を聞かされることになります。

実はこの夫婦、子供の頃からのなじみではあるのですが、
普通ではない出会い方をしたようです。

陽吉じいさんが子供の頃、里にいたのはアカネという少女でした。
ある日、一緒に遊んでいたアカネが夕刻になってもまだ帰らないと言い、
そのまま帰ってこないまま、行方不明になった。
かわりに現れたのが、みかげ。
人々は皆、気味悪がったが、引き取ると名乗り出たのは、何とアカネの父だった!

やがて、みかげは里に溶け込んでいき、
時が過ぎて、陽吉とみかげは夫婦になった。

話を聞いたギンコは、この現象に心当たりがあった。
夕暮れ時にヒトが入れ替わる現象。
それは「大禍時」という、夕暮れ時にのみ現世に現れるモノに関係する。
それにのまれた者は、夕暮れ時、本体の無い影のみの姿で現れる。
そして、その影に踏まれたり、踏んだりすると、
影の本体と入れ替わりに、大禍時にのまれてしまう…と言われている。
だからきっとアカネとみかげも同様に、入れ替わったのだろう…。

陽吉じいさんも、みかげおばあちゃんも、
心のどこかでアカネに対する罪悪感を抱えていたのかもしれない。
みかげおばあちゃんは、アカネを身代わりにし、全てを盗んだことに。
陽吉じいさんは、アカネを待つことなく、全てを奪ったみかげと夫婦になったことに。
幸せに暮らしていた二人でしたが、どこか切なくなるお話でした。

みかげおばあちゃんが夕暮れ時になると「帰る」と言い出すエピソードがありますが、
これって認知症のあらわれのひとつなんですよね。
認知症というのは、意識が子供の頃に戻っている状態ですから、
その時のことを追体験しているのかもしれません。
「たそがれ時」は、人生の終焉を迎えているシニアに呼応するのかもしれないですね。


風巻立つ

ギンコがたまたま乗せてもらった船で出会った不思議な男。
彼の口笛は完全に風を操っており、凪でも風を呼び寄せていた。
その技は、実は「とりかぜ」という蟲を操っていた。
蟲師は普通、石笛で蟲を操るものだが、それと同じことを、彼は口笛でやってのける。

男の名はイブキ。
ギンコは夜には口笛を吹かないよう忠告し、去る。
ちょうどその日、イブキに正式な水夫として雇うよう
船主にかけあってもらえると話があった。
気をよくしたイブキはついうっかり夜に口笛を吹いてしまう。
すると…

夜に口笛を吹いちゃいけないって、私も幼い頃聞いたことがあります。
私に場合は、「蛇が出るから」って言われてたな。
実際のところ、どうなのでしょうか。


壺天の星

広い屋敷でひとり暮らす少女・イズミ。
人形を隠して遊んだりしているようだが、
それにしてもこんなに広い屋敷で、少女が一人で暮らしているのは、
さすがに様子がおかしい。

と、思いながら読み進めていると、ギンコが現れる。
どうやらイズミを探しているようだが、時間切れだといって姿を消してしまう。

ギンコはイズミの母親に依頼されて、イズミを探していた。
ギンコ曰く、イズミは家にいるが、「あちら側」に行ってしまい、
互いをとらえられなくなっている、と。

きっかけとなったのは、イズミが家の裏山の井戸に落ちてから。
井戸というのは水場なので、この世ではない世との境になりやすいのですかねぇ。
井戸の底が異界とつながっているという考えは古くからあったようです。
今となっては井戸なんてほとんど見なくなったけど、
かくいう私も実際の井戸って見たことないんだけど、
暗い井戸の底からこんこんと水が湧き上がってくる様は、無心で見入ってしまいそうです。


水碧む

漆原さんのお母様の実家に、「龍口」と呼ばれる深みがあるそうです。
そこは度々水難事故のあった場所で、子供心にとても怖い場所だったそうですが、
そんな作者の原体験がイメージの元となっています。

ギンコは妙に泳ぎの上手い少年・湧太に出会います。
ところが、少し体に触れたところ、やけに冷たい…。
そういう症例は、蟲師の記録と符合する部分がありました。
低い体温、言葉の遅れ、稀に水掻きもあったり。

それらは蟲が原因です。
湧太の中には「雨蠱(うこ)」という蟲がいます。
個体としては肉眼では捉えられないほど小さなモノ。
それが雨に紛れ、川へ流れ込むと、群れて碧い巨大魚のような姿で川を下り、
やがて海に出て子を成す。
それがまた水蒸気に紛れ、雨となり山河に降り注ぐ…。
そうして生きているモノにすぎないが、川を下る時に、
群れの一部が淵などに取り残されると、
魚に食われないように山椒魚などの体内に寄生する。
が、ごく稀に溺れて仮死状態となったヒトに寄生する事もある。
そうなると蘇生はするが、湧太のような影響が残るという。

この親子に何があったのか!?
また、その影響は完全に抜くことはできないというが、果たして!?

ところで胎児は、胎の中で水に浸されていて、
ヒトよりも蛙や山椒魚など水の生き物に近いという。
言われてみれば、見た目もそれらの生き物に近い時期がありますよね。
その頃は上手に泳げてるはずなのに、どうして産まれたら泳げなくなってしまうのだろう。

川は山の奥の谷から流れてきて、その谷の水は空の雲から降ってくる。
空の雲は海から生まれ、川はやがて海へと行き着く。
特別なことでも何でもない、水の循環です。
当たり前のことなのですが、改めて「海も川も雨も雲も全部一緒」と気づかされる。
形は違うけどみんな同じ。


草の茵

昔のギンコのお話。蟲師として修行をしている頃のこと。
3巻の「眇の魚」で「ギンコ」が誕生し、
4巻の「草を踏む音」で蟲師としての生き方を知る。
そしてその後、どのようにして今のギンコとなっていったのか、が今回のお話。

蟲を寄せ付けやすい体質を利用して、蟲師としての道を歩んでいても、
その頃はまだ十分に受け入れられてはいなかったんですね。
何度か蟲師に拾われては厄介払いされていたようです。

今回は、スグロという蟲師に拾われる。
蟲師に決まったかたちの修行というものはないのでしょうけど、
薬草や蟲除けの煙草の作り方だとか基本的なことを教わったようです。
あと、蟲師にとっては大事な、ヌシについても。
ヌシとは理の現れなのです。

その体質から災いをもたらすと煙たがられ、自分ですらも受け入れられずにいたギンコ。
だけど、ヌシによって答えが見つかったようです。
ギンコにとっての居場所を探す旅。
ひとところに長く留まることはできないけど、居ることを許されている。
それはギンコだからこそできることもあり、現にギンコに助けられた人もたくさんいるんだから。



蟲師(9) (アフタヌーンKC)

蟲師(9) (アフタヌーンKC)

  • 作者: 漆原 友紀
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/02/22
  • メディア: コミック



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